私だけではないと思うけど、YouTubeもネトフリも何もかも観る気が起きない日がある。
でも、何かを摂取したい。
何かやっていないと時間を無駄にしている気持ちになってしまう…まさに現代病にかかっている訳である。
それで、本をとってページをめくってみるのだけど、全く進まない。
写真集ならいけるかもと思っても結果は同じである。
iPadを触り、何かないかなとフワフワと画面を行き来して、もう無理かもと思った時に『青空文庫』のアプリが目についたので開いてみた。
実は、以前にもこのような症状が出た時があって、その時にダウンロードしたのだった。
その時のことを思い出してみると、『江戸川乱歩』を読んだ記憶が出てきた。
「あの時も同じ状況だったのに、読めたのなら今回も読めるかも…。」
それで、江戸川乱歩の作品を探して、短時間で読めるようにページ数の少ない作品をチョイスしてみた。
その作品は『押絵と旅する男』である。
内容は、江戸川乱歩によくある少し気味の悪い不思議な話だ。
ある男が魚津から東京に向かう列車の中で、額縁に入った絵を持つ奇妙な男と出会う。
車両には主人公と奇妙な男しか居らず、あるきっかけがあり二人が会話を始める…。
私は、この作品をあっという間に読んでしまった。
あんなに何もする気が起きなかったのにだ。
以前もそうだったことを考えると、どうやら江戸川乱歩の文体や作品世界が好きなのだと思う。
作品の冒頭部分で心をつかまれるのである。
この話が私の夢か私の一時的な狂気の幻でなかったのならば、あの押絵と旅をしていた男こそ狂人であったに相違ない。
これは『押絵と旅する男』の冒頭部分なのだが、もうこれだけで読むしかないと思ってしまうのだ。
え、狂人ってどんな?がフックになって、ずっと夢中で読んでしまう。
こういう作家は私の中ではあまりいない。
アガサクリスティーもかなり近いものがあるけれど、私の中では乱歩のフックが強くていつも持っていかれる。
本当に江戸川乱歩はすごい…。
紙の本も買おうかなと思っている。
あと、たくさんの作品を残してくれていることもありがたい。
本当にありがとう!江戸川乱歩!
※作品は青空文庫アプリで無料で読めるので、気になる人は是非!
紙の本しか読まない人は図書館や、あとはAmazonなんかでも作品集が売っているのでオススメです!